板谷波山「私は若い頃から仕事に全精魂を傾けることにして今日に及んでいる。一作ごとに愛情を込め、五体から汗がにじみでるような努力をする。この精神は終始一貫変らない。作品に愛情と精魂を傾けても、快心の作が生まれないのが世の常である。たゆまざる努力の結晶で稀には名作が生まれることもあるが、これは、なかなか難しい問題であると思う。私は若い者たちに『青年期の貧乏時代に芸術のために血と汗の努力をせよ』と教訓している。若い時代の苦難というものは、八十を過ぎても決して消え失せないものである。もう私も米屋(米寿のこと)どまりを過ぎて、鳩杖を頼りに、九十九歳まで芸術の鬼となって、精進努力をしたい念願である」

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