時々、私はこんなことを想像することがある。いつか私が死に、お棺のまわりで通夜の友人たちが私について色々語ったとする。あいつはイイ奴だったとかイヤな奴だったとか、たくさんのその人たちの眼を通した「私」が語られるがー それをじっと聴いている私はやっぱり棺のなかで呟く。
「いや、俺はそれだけじゃないぞ。それだけじゃないぞ」

遠藤周作「自分の名について」

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